不妊症の定義
「不妊症」という言葉は、妊娠できないことを意味するものではなく、妊娠が困難な状態 を指します。医学的な検査を通じて原因を特定し、適切な治療を行うことで妊娠の可能性を高めることができます。
不妊症外来を受診すべきか悩んでいる方へ
多くの夫婦が結婚してから 2〜3年経過して 受診することが多く、最適な時期を逃してしまうケースがあります。妊娠を希望している場合、以下の条件に該当する方は、早めに専門医の診察を受ける ことをおすすめします。
受診を推奨する条件
- 35歳以下で避妊しておらず、正常な性生活を1年以上続けても妊娠しない場合。
- 35歳以上で避妊しておらず、正常な性生活を半年以上続けても妊娠しない場合。
- 過去半年間に2回以上の流産を経験している場合
不妊の原因
不妊症の原因は、以下の割合で分布しているとされています。
- 男性因子(約1/3)
- 女性因子(約1/3)
- 男女ともに原因がある、または不明なケース(約1/3)
そのため、不妊の検査や診察は 夫婦で一緒に受けることが推奨されます。

妊娠前検査(不妊検査)
検査項目は男女で異なるため、受診時には医師が夫婦の健康状態、既往歴、遺伝的要因などを詳しく確認し、必要な検査を決定します。
女性の検査
① 抽血検査(ホルモン・免疫)
生殖内分泌系の検査(月経2~4日目推奨)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- LH(黄体化ホルモン)
- E2(エストロゲン)
- P4(プロゲステロン)
- Prolactin(プロラクチン)
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- AMH(アンチミューラリアンホルモン)
自己免疫関連検査
- APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
- IgG(免疫グロブリンG)
- ANA(抗核抗体)
- Anti-TPO Ab(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)
- ATA(抗サイログロブリン抗体)
② 超音波検査
- 子宮環境:子宮構造、子宮筋腫、ポリープ、チョコレート嚢胞の有無、子宮内膜の状態
- 卵巣機能:AMH検査+基礎卵胞数の超音波追跡
- 卵管:水腫の状態を初期判断
③子宮鏡検査
- 子宮疾患の確認(子宮内膜ポリープ・子宮癒着・子宮筋腫・子宮内膜炎・子宮中隔)
④輸卵管造影検査
- 輸卵管の閉塞・水腫・蓄積・粘着の有無を確認
男性の検査
① 抽血検査(ホルモン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- LH(黄体化ホルモン)
- E2(エストロゲン)
- Testosterone(睾丸刺激素)
- Prolactin(プロラクチン)
②精子検査
- 精子総数
- 精子濃度
- 精子運動能力
- 精子形態
- 抗精子抗体