男性不妊症について
不妊の原因は女性だけに限られるものではありません。統計によると、不妊カップルのうち約3分の1は男性側の問題が原因であり、3分の1は女性側の問題、残りの3分の1は男女両方に問題があるか、原因不明とされています。
多くの場合、男性は妻が妊娠できないことに気づいて初めて、自分が不妊の可能性があることを認識することが多いです。不妊の治療は一般的に産婦人科の不妊専門医が担当することが多いため、女性の不妊は適切に診断・治療されるケースが増えています。しかし、男性の場合は精液検査の結果をもとに泌尿器科へ紹介されることが一般的です。
精子の質が改善されない場合、生殖医療センターに戻り、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療を用いて精子を処理する必要があります。また、妻が採卵する日に別の病院の泌尿器科で精子採取手術を受け、精液を生殖医療センターに送るケースもあります。
本来、男性不妊の診断・治療は泌尿器科医の専門分野ですが、当クリニックでは不妊専門の産婦人科医と泌尿器科医のチームが協力し、男女の不妊を包括的に診断・治療する体制を整えています。
男性不妊の原因
男性不妊の原因は単一のものではなく、多くの場合複数の要因が関与しています。男性の生殖機能には、生殖器の構造、ホルモン分泌、神経系、性機能、解剖学的要因などが関わっており、さまざまな疾患が不妊を引き起こす可能性があります。
台湾男性医学会の統計によると、男性不妊の最も一般的な10の原因は以下の通りです。
- 原因不明の男性不妊
- 精索静脈瘤(精巣の血流異常による精子の質の低下)
- 停留精巣(陰睾症)
- 精子抗体(自己免疫反応により精子が攻撃される)
- クラインフェルター症候群(染色体異常による男性ホルモンの分泌低下)
- 射精機能異常(逆行性射精、早漏など)
- 副睾管閉塞(精子の通り道が塞がる)
- Y染色体微小欠失(遺伝的要因による精子形成の異常)
- 内分泌疾患(ホルモンバランスの乱れ)
- 先天性両側精管欠損(生まれつき精管がないため精子が射出できない)
男性不妊の治療方法
男性不妊の治療は、以下の5つのカテゴリーに分けられます。
- 射精異常(早漏、逆行性射精など)
- 無精子症(閉塞性と非閉塞性の2種類があり、それぞれ原因が異なる)
- 免疫性男性不妊(精子抗体による影響)
- 精液異常(少精子症、奇形精子症、乏精子症など)
- 潜在的な精子機能の異常(精液検査が正常でも、精子DNAの断片化率が高い場合など)
男性不妊と診断された場合は、泌尿器科医と相談し、精液のサンプルを採取しながら、適切な治療方針を決定することが重要です。
男性不妊の予防
- 生活習慣の改善
- 喫煙や過度の飲酒を控える
- タバコやアルコールに含まれる有害物質は精子の質を低下させるため、妊活中は禁煙・節酒が推奨されます。
- 過度の熱環境を避ける
- タイトなズボンや下着の着用、お風呂や温泉の頻繁な利用は、陰嚢の温度を上昇させ、精子の生存率を低下させる可能性があります。
- バランスの取れた食事
- 肉類の過剰摂取を避け、野菜を積極的に摂る
- 加工食品(焼き肉、ソーセージ、ベーコンなど)を控える
- ビタミンA・C・E、亜鉛、セレンを豊富に含む食品を摂取する
- ナッツ類や魚に含まれるオメガ-3脂肪酸を意識的に摂る
- 適度な運動を心がける
- 長時間の激しい運動は避ける
- 極端な持久系スポーツ(マラソン、ボディビルなど)は生殖機能に悪影響を与える可能性があります。
- 自転車の長時間利用に注意
- 長時間のサイクリングは陰嚢を圧迫し、精子の健康に影響を与える可能性があります。
- 長時間の激しい運動は避ける
- ストレス管理を徹底する
- 仕事や生活のストレスを減らし、性機能を正常に保つ
- 強いストレスは性欲低下や勃起不全を引き起こすことがあるため、リラックスする時間を確保することが大切です。
- パートナーとの時間を大切にし、自然な妊活環境を作る
- 仕事終わりに散歩をする、旅行を計画するなど、リラックスできる時間を持つことが、妊娠の可能性を高めます。
- 仕事や生活のストレスを減らし、性機能を正常に保つ