卵巣機能不全とは?
正常な女性の卵巣機能は45~50歳まで維持されるのが一般的ですが、40歳以前に卵巣機能の低下が起こる場合を「卵巣機能早期衰退」といいます。 卵巣機能が衰退すると、まず月経異常が現れることが多く、放置すると妊娠しにくい状態へと進行する可能性があります。
卵巣機能不全の診断方法
① ホルモン検査(血液検査)
月経周期1~3日目に行う血液検査で、以下のホルモン値を測定します。
FSH(卵胞刺激ホルモン)
- FSH > 8:卵巣機能衰退の警告サイン
- FSH > 10:中等度の衰退
- FSH > 12:重度の衰退
- FSH > 30:早期卵巣衰退、原発性卵発育不全、ダウン症などの可能性
AMH(アンチミューラリアンホルモン)
- AMH < 2:卵巣予備能が一般水準を下回る
- AMH < 0.8:卵巣機能が重度に衰退
- AMHがゼロに近づくほど、卵巣衰退が進行していることを示す
②症状の確認
以下のような症状がある場合、卵巣機能不全の可能性があります。
- 月経周期の短縮・延長
- 月経量の減少
- ホットフラッシュや盗汗(寝汗) などの更年期症状
卵巣機能不全の原因
① 免疫・疾患要因
- 免疫性甲状腺炎、Ⅰ型糖尿病、紅斑性狼瘡、関節リウマチ など
- 一部のウイルス感染(おたふく風邪ウイルス など)
②生活習慣・環境要因
- チョコレート嚢腫(子宮内膜症が原因で卵巣機能に影響)
- 慢性的なストレス(視床下部-下垂体-卵巣軸に影響し、排卵を抑制)
- 喫煙・飲酒(ニコチンやアルコールが月経不順を引き起こす)
- 放射線治療・化学療法の影響
- 夜更かし(ホルモンバランスが乱れやすくなる)
- 不規則な食習慣(朝食を抜く、栄養不足などが排卵機能に影響)
卵巣機能不全の治療
① 西洋医学的アプローチ
- ホルモン補充療法(HRT):ホルモンバランスを調整し、更年期症状を軽減
- 生活習慣の改善:ストレス管理、バランスの取れた食事、適度な運動
② 中医学(東洋医学)の視点と治療法
中医学では、卵巣機能不全を「陰陽のバランスの乱れ」として捉え、以下のアプローチを用います。
- 腎陰の滋養 → 生殖能力を司る「腎」を補強し、ホルモン分泌を促進
- 肝の調整 → 月経周期を整え、血流を改善
- 血を補う → 心肺機能を強化し、全身の血流を改善
- 炎症・血瘀の改善 → チョコレート嚢腫や炎症を抑える